肝臓の病気　脂肪肝とは？脂肪肝の原因と改善方法は運動と食事

肝臓には、体のエネルギー源となる栄養素を脂肪に変換してため込む働きがあります。

その脂肪がエネルギーとして使われずに、肝臓の細胞が過剰に溜まった状態を脂肪肝といいます。

もはや、日本人に認知されている脂肪肝。ほったらかしにしておくと大変なこととなります。

脂肪肝は、そのままにしていると肝臓がん、そして心筋梗塞などにもつながります。今回は脂肪肝の原因を理解し、健康的な体になるために対策をお伝えします。

あなたの生活習慣は大丈夫！？脂肪肝の原因とは

あなたのよくない生活習慣が脂肪肝の原因となる

脂肪肝を引き起こす原因の多くは、よくない生活習慣です。具体的には以下の通りです。

ご飯やパンなどの炭水化物（糖質）が多い食品を摂ると、肝臓は、炭水化物が分解されてできたブドウ糖をグリコーゲンに加工して、肝臓の中に貯められます。

このグリコーゲンは、しばらく使われないと脂肪に変わり、そのまま肝臓内に貯まります。

そのため、食べ過ぎや運動不足によってグリコーゲンが余ってしまうと、やがて脂肪肝につながるのです。

お酒の飲み過ぎも脂肪肝の原因となる

「お酒の飲み過ぎ」も脂肪肝の原因になります。

お酒を多く飲むと、肝臓はアルコールの処理を優先するため、食べ物からとったブドウ糖の加工が後回しになり、脂肪として溜め込まれてしまいます。

悲報　肥満も脂肪肝の大きな原因

残念ながら、肥満も、脂肪肝の大きな原因です。

特に問題となるのが、胃や腸などの内臓周りに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」で、お腹周りだけでなく、肝臓にも脂肪が貯まりやすくなります。

内臓脂肪型肥満は中年男性に多いため、中年男性に多くみられます。

なお、肥満がないように見えるのに、脂肪肝があるケースも少なくありません。

これは、内臓脂肪は多くても皮下脂肪が少ないために、体型的には痩せて見える、「隠れ内臓脂肪型」であり、脂肪肝がある可能性が考えられます。

そのほかにも、脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病がある人も、脂肪肝になりやすいことも分かっています。

こんなに怖い！脂肪肝が原因となる病気とは

脂肪肝を放置すると肝硬変となりやがては肝臓がんに

脂肪肝が起こっているのをそのままにしていると、肝臓が次第に繊維化して硬くなっていき、およそ10年で約２割が「肝硬変」に進むと考えられています。

肝硬変に進むと「肝臓がん」を発症しやすく、肝臓がんの約２割は脂肪肝が原因で起きており、今後もこの割合は増えていくと考えられています。

脂肪肝は動脈効果進行を促し心筋梗塞・脳卒中・腎臓病のリスクも高まる

また、脂肪肝が進むと、肝臓の中に溜められなくなったブドウ糖が血液中に増えて、血液を傷つけ、動脈硬化を進行させます。

脂肪肝のある人は、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などの発症リスクが、脂肪肝のない人の約２倍にもなります。

そのため、早期に発見し、進行させないための対策をとることが大切なのです。

脂肪肝の改善には生活習慣の見直しが最大の薬

脂肪肝の第一の予防は生活習慣の見直しが必須

脂肪肝は生活習慣と関わりが深いので、脂肪肝の肝硬変に進むのを抑えるためには、生活習慣の見直して改善することが大切です。

食べ過ぎ・運動不足・肥満が原因の場合は、バランスの良い食事をとり、適度な運動を行うことが基本です。

お酒の飲み過ぎが原因の場合は、お酒をやめることが原則ですが、難しい場合には、まずは週２の休肝日を設けるなど少しずつ飲酒量を減らしたり、必要に応じて、飲酒欲求抑制薬を使うこともあります。

有酸素運動だけでなく筋肉トレーニングも脂肪肝の改善に効果がある

運動は、無理なく続けられることが重要です。ウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動がよく勧められます。

また、最近では筋力トレーニングにも脂肪肝を改善する効果があることが分かってきました。

筋肉には、アンモニアの分解やブドウ糖の貯蔵など、肝臓と同じような働きもあります。

筋トレで筋肉量を増やすことで肝臓の機能の一部が筋肉で補われるため、肝臓は脂肪の処理を行えるようになるのです。

肥満がある場合には、減量が必要ですが、急な減量はリバウンドにつながってしまいます。１か月に２〜３kg減らすことを目標に、無理のないペースで行うと、肝臓の脂肪が減りやすくなります。